自身へのプレゼントに買ったブランド腕時計とまさかの重複

腕時計とは、ファッションや自身の経済的ステータスを反映させるアイテムです。最近では携帯電話で時間を確認するから時計を着けない、という話をよく聞きますが、社会人なら身だしなみの一環として身に付けるべきでしょう。

学生の頃は特にファッションに気を配ったことなどなく、腕時計を着ける習慣もありませんでした。時間は厳守する人間ですが、その時間を確認するのは決まって携帯電話という、現代人らしいのが私という人間でした。しかし、社会人になるにあたって好みの問題ではなく、常識として腕時計は身につけるものだと思い、使用するようになりました。

社会人一年目から見栄を張ってブランド物を身に付けることや、目上の人間より高値の物を使用することは、上下関係を重んじる我が国では良しとされません。
かと言って、いつまでも学生気分を引きずったような、ちゃらちゃらした腕時計を着けることも社会人として疑問符が付きます。なので私は、私が学生の時に亡くなった父の形見である腕時計を使用していました。

父はそれなりの地位の人間で、地元では名の知れた存在でしたが、どれだけ偉くなっても常に謙虚で、驕りのない人間でした。そんな父だから、身に付けていた腕時計もデパートの時計店で適当に選んだものを使用しており、社会人一年目の私が着けていても浮かない物でした。

社会人として、尊敬する父のような人間であるべきだという戒めの意味も込め、私は今年まで父の形見の腕時計を使っていたのです。しかし、長年父が使っていたこともあり、ベルトの破損や時間のズレといった問題が頻繁に発生するようになり、そろそろ自分で腕時計を買おうと考えました。

私はまだ26歳ですが、今年で社会人になって6年目になり、後輩や社内での地位も生まれ、現在は営業職に就いていることから、自分に相応しい腕時計を購入しようと、同期の仲間といくつか時計店を巡り、候補を何点かに絞りました。

候補を絞ったのはいいのですが、いくらか蓄えがあるとは言え本当に買うのか決めかねている節があり、そもそもそんなに高価なものではないにしろ、ブランド物を身に付けるのは社内での顰蹙を買ってしまうのではないかと考えると購入の勇気が出ず、夏が過ぎて秋になり、冬が近づいていました。

その間も父の形見である腕時計は悲鳴を上げ、いい加減休ませてやらねばならいと思い、自分の誕生日に自分へのプレゼントとして思い切って購入することに決めました。
誕生日の数日前に、以前同僚と訪れた時計店に在庫を確認したところ、私が購入しようと考えていた腕時計は残っていたので、購入の意思を伝え取り置きしてもらうことに成功しました。

あとはお金を持って、誕生日の帰り道に時計を受け取りに行くだけです。しかし、私の優柔不断な態度が悲劇を生むことになってしまいます。誕生日の日にいつも通りに出社しました。午前からその日の仕事をこなし、社外へと出かける用事があったため、昼休みに会社に戻って来ると上司から呼び出されました。

現在の私の上司は祝い事を重んじる方で、私のような独り身の人間には誕生日祝いを、家庭を持っている者には結婚記念日や、子どもの誕生日祝いを準備するのが習慣です。
期待しているわけではありませんが、このタイミングで呼び出されたということは今年も上司からのプレゼントがあるのだと思い、上司の元へと向かいました。

そこでは私の読み通り、今年の誕生日祝いを頂きました。今年、私は例年以上に仕事に情熱を注いだ結果、ある程度大きな成果をいくつか得ることができ、社内でも一目置かれるようになりました。私が営業部に移動されてから、私のことをずっと気に掛けてくれていた上司も大変上機嫌で、今年は私の活躍に対する評価も込めて奮発すると言っていました。

私が礼を述べると、ご機嫌な上司はその場で開けてみなさいと勧めるので、その言葉に甘えて上司の前で開封することにしました。すると、中にはブランド名が書かれた箱が入っていたのです。

見覚えのあるブランド名や、小さい割には妙に重みがある物体に嫌な予感がし、恐る恐る箱を開けると、私が購入しようとしていた物と同じ腕時計が入っていました。一体どうして、というのが率直な感想であり、予約してしまった腕時計はどうすればいいのか、この予想外のプレゼントに対する反応はどうすればいいのか狼狽えていましたが、上司には私がひどく感動しているように映ったらしく、更にご機嫌な様子でした。

曰く、私にはリーダーとなるべくこれからも邁進して欲しいということであり、その自覚を持つためにも、それなりの腕時計を持つべきだということでした。
なぜ私がその腕時計を欲しいと思っていたことが分かったのかというと、私への誕生日祝いを購入する際に部下へリサーチしたところ、私と一緒に時計店を巡った同僚が冗談のつもりで上司に言ったところ、上司はその案を大変気に入ってしまったらしく、その場で即決してしまったようだと、その同僚から聞きました。

結局私は購入する必要のない物を予約してしまったのですが、良くしてもらった時計店の方に、同じものを貰ったから不要だということは失礼なので、上司に頂いた腕時計を一旦外して鞄にしまい、予約していた時計を受け取りました。
そのことを件の同僚に話すと今年一番かというくらいに笑っていました。

とは言え、私がもっと早くに腕時計を購入していればこのようなことにはならなかったと思うので、これは私自身の優柔不断さが招いた悲劇と言えるでしょう。ちなみに重複してしまった腕時計は、上司に頂いた方を身に付けて、自分で買った方を先日ブランド品買取店に売ってきました。

未使用未開封であっても、もちろん買値より低い値段が付いたため、損をしたことには変わりありません。やはり、自分へのプレゼントなど女々しいことはするものではないと、そして欲しいと思ったものは先延ばしにせず思い切って買ってしまった方がいいということを学んだ今年の誕生日でした。

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