フォークギターをプレゼントされ振られたバレンタインデー

当時、大学を卒業後、地元の湘南に戻ってきた僕は、どうにも就職する気が起きず、レンタルビデオ屋でアルバイトをしていました。いわゆるフリーターというやつです。僕はギターが好きで、大学時代にもバンドを組んでいまして、ちょくちょくLIVEハウスには出演していました。(それで儲かるわけでもなく、むしろ自腹を切っていましたが 笑)

大学に入学してすぐ、僕には彼女ができました。それからおそらく5年ほど付き合いました。出会いは、新入生歓迎会の飲み会。はしゃぐお調子者たちを隅っこで見ながら優しく微笑んでる彼女に一目惚れしました。

順番に自己紹介する流れで彼女の番がやってきました。「初めまして、埼玉出身です。邦楽の音楽が好きで、RADWIMPSが好きです。」
彼女はそう自己紹介しました。その後、自分も邦ロックが好きだと言うことを話し、二人の仲は急接近。

横浜の桜木町に映画を観にいくことになりました。デートというやつでしょうか。
どうやら彼女は桜木町も初めてのようで、赤レンガ倉庫にとても喜んでいました。そして僕は、大さん橋の先端で告白し、二人の恋物語が始まりました。

大学生というモラトリアム期間は、とにかく「時間があってお金がない」という期間です。笑
一人暮らしの僕の家に彼女はほぼ半同棲のように通うようになり、お互いの好きな曲を流しながら青春を謳歌しました。それはそれはキラキラしてて、もう二度と超えることのできるはずのない、素敵な時間でした。

しかし、時は流れ就職活動の時期になると大学生のカップルには亀裂が入るものです。なぜなら女子の方が先に大人になるからです。就職活動に真剣の取り組む彼女、やる気なくダラダラとバンドして就職活動など全くする気配もない僕。

お互いに温度差が出てきました。この時僕は「君の方が先に大人になっただけ」という曲を作りました。笑

彼女は早々に内定をもらい、地元の会社で事務の仕事をすることになりました。僕はフラフラとしていましたが、心の奥に眠る本気でバンドをやりたいという思いにフタをしていました。だんだんと二人の連絡をとる頻度は少なくなっていきました。

そして卒業後、一度は地元に戻った僕ですが「25歳まで自分を試したい!」と親を説得し、バンド仲間と高円寺でシェアハウスをし、音楽付けの生活をする覚悟を決めました。
そのことを彼女にも告げましたが、大きな反応はありませんでした。

そして時はバレンタインデーに。「プレゼントと話しがあるの」そう言われ、僕は彼女に呼び出されました。お互いの中間地点、池袋駅。人気の少ないデパートの地下階段に座った僕たちは泣いていました。「もう泣かないって決めたのにな」彼女はそう言っていました。彼女の背中には大きな荷物がありました。

「別れよう。私は埼玉に帰っちゃうけど、このフォークギターを東京に持って行って。応援はしてる。けれどバンドマンの彼女ではいられない。私は早く安定した家庭が欲しいの。このギター。私だと思って、次の彼女ができるまで、優しくたまに弾いてあげて。安いやつだけど。」

 

そう言って彼女は僕に小さなチョコレートと「フォークギター」をくれました。それからは一度も会っていませんが、風の噂で彼女が結婚したことを聞きました。本当に良かったと思っています。僕はもう少しだけ夢を追っかけてみようと思います。

新しい彼女はできたけど、あのギターは今でも持っていて、二人でよく聞いた曲をたまに弾いたりしています。

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